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文系で金融工学を勉強したい人の為の「日本人のためのお金の教科書」感想書評

少し前まで資産運用といえば、金融にお金を任せておくのが一般的でしたが近年では個人が自己責任で資産運用をするべき時代へと移り変わっています

こうした時代では、一人ひとりが金融に関する情報収集を行い、積極的に知識を蓄えて自己責任で資産運用を行っていかなければなりません。

「日本人のためのお金の教科書」は2001年に書かれたものですが、その内容は基本的な金融リテラシーを身につけるには十分です。

本書では、金融の歴史から始まり、金融の仕組み、金融商品の価格付け、ポートフォリオ、デリバティブ、リスク管理など金融に関する様々な内容を広く網羅しています

金融の専門用語やリテラシーを身に着けたい読者にはおすすめの一冊となっています

第1章 金融リテラシーとリスク・リターン

第1章では、資産運用のツールとしてしられる「金融工学」の基本的な考え方を学ぶために前提となる、「金融工学を学ぶべき背景」と「金融工学を学んだ効用」、そして「金融や投資、ファイナンシャルプランに関する一般的な知識」を広く説明します。

金融変革とファイナンシャルプラン

目次
  • ファイナンシャルプランをもっていますか?
  • 金融ビッグバンと預金者保護
  • 金融ビッグバンと自己責任

金融リテラシーを向上させるには

目次
  • 金融商品の本質、リスク
  • 効率的なファイナンシャルプランを立てる能力が必要となる
  • 金融リテラシーを向上させるためには
  • 金融工学の現状

 第2章 金融そもそも論

第2章では金融の根幹となる知識を説明しています。

金融とはそもそも何なのか、どうしてこれほどたくさんの金融商品が生まれるのか、リスクとは何で、それらを学ぶためにどうして金融工学が必要であるのかと言った、誰もが一度は気にしたことがある、素朴な疑問に答えています

金融とは「お金の貸し借り」

目次
  • おカネの貸し借りと債権
  • 直接金融と間接金融
  • 銀行券と通貨
  • 外国為替

経済主体と市場

目次
  • 個人とおカネ
  • 企業とおカネ
  • 2つの金融市場
  • 中央銀行と金融機関
  • 公的機関とおカネ

金融商品

目次
  • 金融商品の種類
  • 金融商品のバリエーション

金融リスク

目次
  • リスクの種類
  • リスクの大きさ
  • リスクへの挑戦

第3章 価格付けのメカニズム

第3章では、金融商品の売買において欠かすことのできない「価格付け」がどのようになされているのかを説明しています。特に「時間・価格・リスク」に関して数学的な説明を踏まえつつ整理されていますが、決して難しい数式ではないので特に敬遠する必要もありません。

金融の基本式

目次
  • 金融の考え方を表す3つの式

福利と金利

目次
  • 複利の基本式
  • 金利の基本式

価格モデル

目次
  • 価格の基本式と市場価格
  • 価格モデル

将来キャッシュフローの見積もり方

目次
  • 利子と配当
  • 企業の家計簿

割引率の見積もり方

目次
  • リスクと金利
  • 要求利回りとリスクプレミアム
  • 割引率の見積もり方

「期待値」による価格付け

目次
  • 期待値モデル

価格付けの実際

目次
  • 価格付けと分析
  • 分析の有効性

第4章 ポートフォリオ

第4章では個別の投資家における最適なポートフォリオの見つけ方について説明したいます。ポートフォリオとは保有している債権や株式を含めた金融商品の資産構成を指す言葉です。

その後、市場の金融商品の価格決定理論でもある資本市場理論の説明をしたあとに、不動産投資がポートフォリオ理論的にどのようなメリットを持つのかを述べています。

最適なポートフォリオ

目次
  • ポートフォリオってなんだろう?
  • リスクとは何か?
  • 効率的なポートフォリオ
  • ポートフォリオの最適化

分散投資

目次
  • ポートフォリオの効果
  • 分散投資の限界

リスクの代償

目次
  • システマティックリスク
  • アンシステマティックリスク
  • リスクプレミアムの決まり方

期待リターンとリスクの関係

目次
  • 効率的ポートフォリオ
  • 市場リスクの価値
  • CAPM

システマティックリスクの分散

目次
  • 国際分散投資
  • オルターナティブ投資
  • 真の市場リスク

第5章 デリバティブ

第5章では、デリバティブについての基本的な理解と、世の中でデリバティブがどのように普及しているのかを説明しています。デリバティブとは「金融派生商品」と訳され少し難しそうに思えます。ここら辺からは高校数学の知識がないと完全な理解は難しいですが、それでも極力数式を使わないで簡単に説明されています。

デリバティブって何だろう?

目次
  • デリバティブって何だろう?
  • デリバティブの三本柱をみてみよう
  • デリバティブはなぜ必要か?
  • デリバティブは凶器ではない!

デリバティブの価格はどうやって決まるのか?

目次
  • デリバティブの価格決定のキーワード
  • 先物・先渡の価格計算
  • オプションの価格計算
  • スワップの価格計算

“プロ”はデリバティブをどのように使っているのか?

目次
  • リスクをコントロール
  • リスクなしで利益を得る
  • 積極的にリスクをとる

まだまだあるさまざまなデリバティブ

目次
  • エキゾチックオプション
  • ウェザーデリバティブ

第6章 リスク管理

第6章が最終章です。この章では、金融取引において重要なリスク管理と、金融システムの不安定性について説明しています。

手持ちのポートフォリオをどのように評価するのか、金融危機に対してどのような取り組みが国内外で行われてきたのかがまとめられています

個別主体のリスク管理

目次
  • VaRとは?
  • VaRはどのようにして測られるのか?
  • VaRの問題点とその対応
  • リスクの統合管理に向けて
  • トピックス

金融システムの安定化

目次
  • 金融システムの不安定化と安定化対策
  • 安定化対策の実際

まとめ

いかがでしょうか?

ざっと目次を見て、自分の言葉で説明できない項目があるなら本書を読む価値は十分にあるように思います。特に本書は金融工学の本の中でも限りなく数式を少なくして簡単な言葉とわかりやすいイラストがふんだんに使われています

この本はとても古いです。2001年販売なので実に17年前の本となっています。しかしココに書かれている金融理論とその歴史自体はこれから金融商品を扱っていく個人にとって必要不可欠なものです

これを機会に是非お金にまつわる一般常識を学んでいきましょう